転職、しずかちゃんの決断
転職ありきではないキャリアカウンセリングをしたい思いでこの「つむぐ」を立ち上げお仕事をさせていただいていますが、もちろん転職についてお話しあうことはたくさんありますし、キャリアを考えるうえで、とても大切なテーマだと理解しています。
そんななかで、転職支援のエージェントをしていた頃から、今でもやはり「転職自体は目的やゴールではなく、通過点でしかない」と思っています。
エージェントにしてもキャリアカウンセラーにしても、
・どんな転職先があるか
・どの転職先を選べば良いか
と、「転職活動」と「転職」について、「選択肢」と「選択」についてのアドバイスを求められることが多くあり、転職後のアドバイスを求められることは少ないと思います。
私は、敢えて言うならば、実は転職後のことを考えることが、最も重要なのではないかと考えています。
意思決定の結論以上に、そのプロセスで何を考え、気づき、学び、大切にするのかを自身と向き合い言葉につむいでいくことが大切だと思います。
そして、転職先を決めるときに大切なのは、
・懸念や違和感について見て見ぬ振りをしないこと
・その懸念や違和感とどう向き合うか覚悟すること
・次の環境への期待と依存を整理すること
・その期待と依存とどう向き合うか覚悟すること
・できるだけ依存せず自立すると決める。
(転職して当面はどうしてもこれまでの会社でのあり方に縛られがちなので、依存度が高いと苦しむ方が多い)
なのだろうと考えています。
エージェント時代にそんな思いを強くさせてくれた方がいました。
その方は二社(A社とB社)から内定を取られて、どちらも魅力的だと悩まれていました。
これまでお話してきたやりたいこと、ありたい姿、求める環境、これまでの経験やスキル、それらとA社B社を表にして○×をつけるプロコンを作られていて、A社は全て満たされていました。とある夜に電話でお話をしながらは8割方A社になるだろうとご本人も仰り、自分もそうなのかなと思っていました。
でも、翌朝の彼女の決断は、B社だったのです。
「A社はたしかにすべて叶う。
でも、A社は私でなくてもいいと思った。
B社はたしかに欠けているものばかり。
でも、私がいなければダメだと思う。
その欠けているものを私が埋めたり作ったりしていく、
それが求められているんだと思ったときに、
B社こそ選ぶべきだと思った。」
そんな理由だったのです。
今はもう、その方とはお付き合いがありません。
その決断が正しかったと思われているのかはわかりません。
でも、強く思えたことは、こういう決心は、強いということ。そしてきっとその先どうであれ悔いのない選択だったと思えるのではないか。
自立と覚悟の力強さ、転職のその後を、相手に依存せず自身で考え抜いてする決断。その価値を感じたエピソードであり、答えはご本人の中にあるのであり、私が押し付けるものではない。そのご本人の中にあるものをご本人が産み落とし、抱き抱えられるようにすることが、(あくまで私の思う)エージェントやキャリアカウンセラーの仕事だという思いの源泉にもなっています。
しずかちゃんが選んだのは、出木杉くんではなくのび太くんでした。ややもすれば、第三者は出木杉くんを薦めがちです。
いつもそのことを思い出して、自身のエゴを押し付けないようにしたいと考えています。
余談
調べたら出木杉くんの名前は英才(ひでとし)なんですね。すごい。出木杉英才。
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