平成と私 vol.8
「で、おまえはどうしたいの?」
二社目で採用支援の仕事をしていた7年間、その最後の2年。その後今に至るまでの生き方を決定づける時間。
この方を一生尊敬しながら生きていくことになると確信する圧倒的に敵わない素晴らしいクライアントの採用リーダー、心許して公私ともに過ごせる深い信頼でつながるアシスタントさん、一生兄貴と呼べる常に明るさで暗い自分を照らし元気をくれる先輩。そんな私たちを温かく見守ってくれる上司、厳しくも愛をもって接してくださったクライアントのマネジメント層の皆さん、業務委託のパートナーでも分け隔てなく仲間として受け入れてくださったクライアントの現場の皆さん。
仲間に恵まれるとこんなに人は前に進めるんだ、力を合わせれば乗り越えられることって確かにあるんだ、そんな歓びに満ちた幸せなプロジェクトは、インターネットサービス企業の中途採用。国内でもトップレベルに難易度の高い採用であったにもかかわらず、難しくて苦しかった記憶は薄くしか残っていません。それほど、みんなで声を掛け合い力を合わせてたくさんの試行錯誤、挑戦を重ねて中途採用を作り上げていった経験は、自分のキャリアの核となっていると言えます。
顧客以上に顧客を愛して、絶対的に採用成果にコミットして、ともに働く人たちが関わってくださる方々がみんなこの採用を担えて、関われてよかったと思える採用を実現する。
もちろん至らないことは山ほどあったと思いながらも、その想いがつなげるご縁が、それこそ採用なのだと、当たり前のことながら、心底正しいと信じる自分になれたのは間違いありません。
そのクライアント企業は、奇しくもそこにいくまで反骨的なアンチ感情を持っていた企業なのですが。こんなにも自分にとって大切なものの詰まった素晴らしい会社だなんて。
たくさんの出会いと別れを重ねて過ごした2年間。ここで働くたくさんの方々が、事業への想いとビジョンを語り伝えてくださいました。ほぼ同じ年代の方ばかりの活躍人材の皆さんの仕事への、そして何より自分の人生に対する圧倒的な当事者意識に包まれる中で、自分が自分に問いかけるようになります。
「で、おまえはどうしたいの?」
この皆さんと歳を重ねても胸を張ってお話しあえる自分でいたい。
日々「あなたのWillはなんですか?」と問う仕事をしながら、否が応でも自分に問わずに過ごせなくなります。
考えに考えました。
追い込むほどに自分に問い続けて前に進む決意をしたのは、このときが人生において初めてだったかもしれません。
たどり着いたのは、
「私は個と向き合いたい」
「ともに働く仲間も、クライアントでも、面接でお会いする方でも、私は常にそのお一人お一人との対話に最も価値を信じ、言葉をつむぎながら、その方が前進するそばにいることに、問答無用な喜びを感じつづけてきた」
ということでした。もちろん会社経営にも事業にも、組織にも関心はありますが、絶対最後の最後に残るものは何か、削ぎ落としきったときに残ったのは、「個との対話」だったのです。
私はあまりに恵まれていました。
難易度の高い採用活動であったがために、難易度の高い仕事に向き合い素晴らしいお仕事をされる人材紹介エージェントの方々との出会いに、恵まれたのです。今もお付き合いいただける尊敬するエージェントの方々の、個とも企業とも社会とも向き合うプロフェッショナリズム。特に個と寄り添う、人を表現する力に長けたエージェントの方々は、私にとって、新たなキャリアのイメージと重なりました。
7年間務めた二社目の採用支援企業を退職することを決め、私が心から憧れる方が在籍するエージェント一社のみに応募し、迎え入れてくださることになるのです。
成長にコミットする
その言葉を中心に置く会社への入社前日、久しぶりにスーツを着て鏡に映る自分を撮影したあの日の緊張と昂りを今も忘れません。周りから見ればただの一つの転職でも、亀にもスッポンにもなれない私なりの、それでも意思を持って前に進むと決めた、大切な一歩だったのです。
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